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小学生のおねしょ(夜尿症)|原因・家庭での対処・治療・受診目安を完全解説【心理学&脳科学Tips付き】
夜尿症はめずらしくありません。「これは発達差であって失敗ではない」。叱らずに「大丈夫だよ」と伝え、就寝前トイレ・水分マネジメント・便秘ケアから始めましょう。心配なときは小児科へ。
※本記事は一般的情報です。診断・治療は医療機関の指示に従ってください。
これで改善が乏しい・日中症状がある・心理的負担が大きい場合は小児科へ。
1. 夜尿症(おねしょ)とは?基礎知識
一般に5歳以降で、睡眠中に不随意の排尿が続く状態を夜尿症と呼びます。膀胱容量の未熟さ、夜間尿量の多さ、深睡眠での覚醒の難しさ、家族歴(遺伝)、便秘、生活リズムなど複数要因が重なって起こります。
- 成長とともに改善する例は多い(速度は個人差)。
- 「これは発達差であって失敗ではない」。叱らない・焦らないが基本。
- 長期化/日中症状/強い便秘や睡眠の問題(いびき・睡眠時無呼吸)は小児科へ相談を。
2. 主な原因|膀胱容量・夜間尿量・睡眠・遺伝・便秘

2-1. 膀胱容量の未熟さ

子どもの膀胱は小さく、一度にためられる尿量に限りがあります。就寝直前に満杯だと漏れやすくなります。
2-2. 夜間の尿量が多い

体質や就寝前の飲食により夜間尿量が増えると、膀胱容量を超えやすくなります。
2-3. 睡眠が深い(覚醒しづらい)
深睡眠時は膀胱からのサインで目覚めにくくなります。朝の目覚めを整える実践法も参考に、就寝・起床リズムを整えましょう。
2-4. 遺伝(家族歴)
家族に夜尿の既往があると起こりやすい傾向があります。
2-5. 便秘

直腸内の便が膀胱を圧迫し、貯尿量が減ると夜間に漏れやすくなります。偏食が気になる場合は 偏食の克服ガイドもどうぞ。
2-6. “赤信号”チェック(至急受診のサイン)
- 日中の尿もれ・頻尿・排尿痛・発熱・血尿
- 激しいいびきや睡眠時無呼吸が疑われる
- 強い便秘(硬便・排便困難)が続く
- 長期化し、本人の自己肯定感が大きく低下している
| 原因 | 見分け方 | 家庭での対処 | 受診の目安 |
|---|---|---|---|
| 膀胱容量の未熟さ | 寝る前に尿意が強い/漏れ量が多い | 就寝前トイレ固定(If-Then)/夜の水分控えめ | 学年が上がっても改善乏しい |
| 夜間尿量が多い | 夜中に大量の濡れ/朝方に集中 | 就寝90〜120分前に補給完了/塩分・カフェイン控え | 頻度が週2以上×3か月以上 |
| 深睡眠で覚醒困難 | 朝起きにくい/夜間覚醒しにくい | 入眠前30分スクリーンオフ・起床時刻固定 朝の目覚めを整える |
生活調整でも改善乏しい |
| 便秘 | 硬便/排便痛/2〜3日に1回 | 朝の水+朝食+軽い運動/食物繊維と水分 偏食対策 |
腹痛・血便・長期化は受診 |

3. 家庭でできる対処法まずはここから
3-1. まずは落ち着いて・責めない
「大丈夫。一緒に工夫しようね」。親が叱らない→子の自己効力感↑→実行率↑。自信の土台づくりは 自己肯定感メンタルトレーニングも参考に。
3-2. 水分マネジメント
- 日中は十分、夕方以降は控えめ。
- 運動後は早めに補給を終える(就寝90〜120分前)。
- 夜のカフェイン・炭酸・高塩分は控える。
3-3. 就寝前ルーティン(If-Then ルール)

- 20:30にタイマーを鳴らす(合図を固定)。
- 歯みがき→終わったらトイレへ直行。
- 寝る直前に1回排尿してから布団へ。
- 就寝前30分はスクリーンオフ(前日準備テンプレで迷いを減らす)。
「ルールが続かない」ときは、優柔不断を4週間で克服が役立ちます。
3-4. 便秘対策
- 朝の排便リズム:起床→コップ1杯の水→朝食。
- 食物繊維+水分+軽い運動。
3-5. 失敗時の手順を“淡々と”
- 防水シーツ・吸水パッド・替え寝間着を常備(防水シーツは洗い替えを1〜2枚)。
- 後片付けは事務的に短く、子の尊厳を守る声かけ。
3-6. 感情ケアの声かけ例
- 「うまくいかない日もあるよ。昨日より1歩進めたね」
- 「寝る前トイレを自分から言えたの、すごく助かった」
3-7. 宿泊行事・旅行での配慮テンプレ

事前連絡例:「宿泊中、おねしょ対応で防水シーツを持参します。起床時の声かけのみお願いします。子どものプライバシー配慮にご協力ください。」
起床リズムと動線を整える工夫は 前日5分テンプレ、 旅行時の眠気対策は 朝起きない本当の理由と対策が参考。
4. 心理学Tips/脳科学Tips
4-1. 心理学Tips:小さな成功×即時称賛で習慣化

- 最小単位で始める(歯みがき→トイレ→布団の3手)。
- 結果ではなく出来た行動を具体的にほめる。
- If-Thenプランニングで迷いを減らす(20:30→トイレ)。
- 子が決めたルールほど遵守率が上がる(当事者化)。
習慣が続かない時: 約束を守れない…高学年が動く声かけ
4-2. 脳科学Tips:実行機能は“同じ順番”で強くなる

- 毎晩おなじ手順で前頭前野の回路を強化。
- チェック表・タイマーでワーキングメモリを外部化。
- 報酬は行動直後に(言語称賛・シール)。
- 入眠30分前はノースクリーンで睡眠深度を最適化。
背景の整え方: 小1・小2・小3が言うことを聞かない具体策
4-3. 叱責が逆効果な理由(短期×長期)
- 短期:不安・羞恥で覚醒サインの自己認識が低下。
- 長期:自己否定感→回避行動→就寝前ルーティンの実行率低下。
- 有効なのは行動の即時称賛と迷わない仕組み(固定順序・外部化)。
5. 医療的な治療|アラーム療法・薬物療法

生活調整で改善が乏しい/頻度が高い/心理的負担が大きい場合は医療介入を検討。
5-1. アラーム療法
濡れを感知してアラームで覚醒を促す学習法。根気よく継続できる家庭で効果が期待できます。
5-2. 薬物療法
夜間尿量を減らす薬(例:デスモプレシンなど一般名で言及)や膀胱の過活動を抑える薬など。医師の説明に沿って使用します。
5-3. 期待できる効果と副作用の一般論
- 期待値:頻度・濡れ量の低下/自律的覚醒の学習を後押し。
- 限界:個人差が大きい。生活リズム・便秘・心理面の併走が必要。
- 副作用:薬は用法用量遵守(医師の管理下)。再発の可能性も説明を受けましょう。
6. 受診の目安と準備チェックリスト

次のいずれかに当てはまる場合は、小児科(必要に応じて小児泌尿器)に相談を。
- 週2回以上が3か月以上続く/学年が上がっても改善が乏しい。
- 日中の尿もれ・頻尿・排尿痛・発熱・血尿。
- 強い便秘、いびき・睡眠時無呼吸の疑いがある。
- 本人・家族の心理的負担が大きい。
受診前メモ(持参するとスムーズ)
- 夜尿の頻度・量・時間帯(簡易カレンダー録)
- 日中の排尿状況・便秘の有無・睡眠時間
- 家族の既往・これまでの対処と反応
7. よくある質問(FAQ)
Q1. いつまでに治る?自然に治る割合は?
年齢とともに改善する例が多い一方、速度は個人差。小学校中学年以降で頻度が高いなら相談を。
Q2. 夜中に起こしたほうが良い?
毎夜親が起こす習慣は自律的な覚醒学習を妨げる場合があります。まずは就寝前トイレと生活リズムの調整を。
Q3. 水分制限はどこまで?
過度な制限は脱水リスク。日中は十分、夕方以降は控えめ、就寝直前の大量摂取は避けるのが現実的。
Q4. 叱ってでもやめさせるべき?
叱責は不安・自己否定を強め逆効果。責めない・褒める・一緒に工夫が原則。
Q5. 学校行事(宿泊)や旅行が不安
事前に担任や指導者へ相談し、防水シーツや起床時の声かけなど、子の尊厳を守る配慮を共有しましょう。
Q6. 防水おねしょシーツは何枚あると安心?

洗い替えを考え2枚あると回しやすい。旅行時は折りたたみタイプを1枚携行。
Q7. 二度寝で再発しやすい…対策は?
起床時刻を固定し、朝の光と朝食で体内時計をリセット。詳細は 朝の目覚めを整える実践法。
Q8. 低学年と高学年でアプローチは違う?
低学年は順序の固定と即時称賛、高学年は共同決定(自分で決めたルール)と振り返りが効果的。
8. 関連記事(内部リンク)
参考・出典
