お絵描きはただの遊びじゃない!公的機関も認めるその力
「うちの子、なかなか集中してくれないのよね…」
「もっと想像力を豊かに育んであげたいけど、どうすれば良いのかしら?」
多くのお子さんがそうであるように、あなたのお子さんも時にはお絵描きに夢中になり、時には飽きてしまうこともあるでしょう。
ぐちゃぐちゃに描いているだけに見えて、もしかしたら「まだ早いのかしら?」と感じる方もいるかもしれません。
でも、その一つ一つの瞬間が、実は驚くほど大きな成長に繋がっているとしたら?
お絵描きは単なる遊びではありません。
実は、文部科学省の幼稚園教育要領や厚生労働省の保育所保育指針でも、お絵描きをはじめとする表現活動が、子どもの健やかな発達に不可欠な要素として強く推奨されているのです。
さらに、脳科学者や心理学者、そして現場の教育専門家たちも、その多岐にわたる効果を裏付けています。
この記事では、お絵描きが子どもの知育と心の成長にどう影響するのか、公的機関の視点に加え、各学会や専門家の最新の知見も交えながら具体的なメリットを詳しく解説します。
そして、ご家庭で今日からできるお絵描きサポート術まで、盛りだくさんの内容でお届けしますので、ぜひお子さんとのお絵描きタイムを、より豊かで意味のあるものにするヒントを見つけてくださいね。
お絵描きが知育に与える驚きの効果:脳と認知能力の活性化
お絵描きは、お子さんの脳と学習能力をぐんぐん伸ばす最高のツールです。
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右脳の活性化と総合的な能力向上 EQWEL TIMESなどの幼児教育機関は、お絵描きが特に右脳を活発に働かせると指摘しています。右脳はイメージや感覚、直感を司る「感覚脳」とも呼ばれ、この部分が活性化することで、以下のような総合的な能力が養われると考えられています。
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記憶力の向上: イメージで記憶する力が強化されます。
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ひらめき力: 既成概念にとらわれない発想が生まれます。
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集中力: 好きなことに没頭する力が育ちます。
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クリエイティブ力: 独自の表現方法を追求する力が伸びます。
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コミュニケーション能力: 非言語的な表現で伝える力が養われます。
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五感を刺激し、脳の発達を促す 色鉛筆の匂い、絵の具の冷たさ、画用紙のザラザラとした手触り…。お絵描きは、視覚、触覚、嗅覚など、たくさんの五感を刺激する活動です。この多感覚的な刺激が、脳の発達、特に神経回路の構築に大きく貢献します。文部科学省も、様々な色、形、素材に触れることで、視覚的な感覚を養い、美的感覚を磨くことの重要性を強調しています。
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指先と脳の発達の連動 「手指は『第2の脳』」と言われるように、指先には脳につながる神経が集中しています。クレヨンや色鉛筆を握り、指先に力を入れて描くことは、脳に良い刺激を与え、手先の器用さを鍛えます。これは、お箸を持ったり、文字を書いたりする際の土台にもなります。
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空間認知能力と観察力の育成 広島大学学術情報リポジトリの論文「幼児期の描画発達と空間認知の発達との関連」(例:2010年、教育学部紀要第59巻)など、多くの研究が描画と空間認知能力の関連性を指摘しています。幼児は、描画を通して、物の位置関係や奥行きなどを認識する力を養います。特に、初期の描画から、より写実的な表現へと移行する過程で、空間を把握し、それを二次元平面に表現する能力が発達すると考えられています。描きたい対象物をじっくり観察し、細部を捉えようとすることで、自然と観察力も磨かれていきます。
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思考力・問題解決能力と計画性の培い 「どうすればイメージを形にできるか」「どの色を使おうか」「何を描こうか」といった思考は、お絵描きの中で自然と行われます。この過程で、子どもは自ら問題を見つけ、解決策を考える力を養います。文部科学省が「思考力・認識力の向上」でお絵描きの重要性を述べている通り、何をどう描くか、どうすればイメージ通りになるかを考えるプロセスは、物事を計画的に進める力も育みます。
お絵描きが心を育む豊かな効果:自己表現と情動の安定
お絵描きは、子どもの心を豊かに育み、健やかな成長をサポートします。文部科学省や厚生労働省も、表現活動が子どもの情動の安定や自己肯定感の育成に不可欠であると位置づけています。
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自己表現と感情の発散 チャイルド・アートの発達心理学を専門とする研究者や臨床心理士は、子どもの絵は単なる落書きではなく、心身の発達や成長過程、そして内面が色濃く反映されていると解説しています。言葉で表現できない複雑な感情(喜び、不安、怒りなど)を絵で表現することで、心の安定やストレスの発散に繋がると言われています。これは、絵を描く行為が、言葉にならない感情を安全に外に出す「心の吐き出し口」となるためと考えられています。
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自己肯定感の醸成 ベネッセの調査や教育現場からの報告でも、描いた絵が完成した時の達成感は、子どもの自己肯定感を高める重要な要素です。文部科学省も、自分の表現が認められることが自信を持つ上で重要であると示唆しています。子どもが絵を通して自分だけの世界を創造し、「できた!」という達成感を味わうことで、ドーパミンなどの神経伝達物質が脳内で放出され、ポジティブな感情と結びつきます。これが「自分はできる」という自信、つまり自己肯定感へと繋がるのです。
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創造性と独自性の育成 南九州大学の「子どもの絵のお話」では、子どもの絵は「想像的(創造)であるべき」と強く主張しており、大人の概念を押し付けず、自由に表現させることの重要性を説いています。自由にイメージを膨らませ、自分なりの絵を描く過程で、豊かな想像力やひらめきの力、イメージを形にしていく創造力が養われます。ぬり絵のように形が決まったものに色を塗るだけの活動は、子どもの創造性を阻害し、「絵が描けない子」に育ってしまう原因にもなると警鐘を鳴らしています。
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コミュニケーション能力と社会性の向上 京都大学の研究(例:共同描画に関する論文)では、幼児同士が共同画を描く場面を分析した結果、3歳後半や4歳前半児では、描けることの喜びを共有し合う「模倣」が見られると報告されています。これは、絵を通じた他者とのコミュニケーションや協調性の発達を示唆しています。言語聴覚士の視点からも、絵は言葉での表現がまだ未熟な幼児にとって、自分の気持ちや考えを伝える重要な非言語コミュニケーション手段とされています。描いた絵について保育士や友達と話すことで、コミュニケーションの機会が増え、言葉の発達も促されます。
発達段階別!お絵描きで伸ばす子どもの才能と親のサポート
厚生労働省の保育所保育指針や日本乳幼児教育学会の論文など、多くの専門家が、子どもの描画発達には段階があることを指摘しています。それぞれの発達段階に合わせた適切なサポートが、才能開花の鍵となります。
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1歳前後(なぐり描き期):手指の動きのコントロールと表現の喜び
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特徴: まだ具体的な形は描かず、点々やぐちゃぐちゃな線が中心。腕全体を大きく動かして描くことが多いです。厚生労働省の資料でも、クレヨンを持って自由に描く体験そのものが大切であると示されています。この時期の「ぐちゃぐちゃ描き」は、まさに脳と指先の神経回路を繋ぐ大切な練習なのです。
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サポート: 安全な太めのクレヨンや大きな紙を用意し、自由に描ける環境を整えることが大切です。描いたものに対して「すごいね!」「たくさん線が描けたね!」と肯定的に声をかけ、表現の喜びを共有してください。
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2歳半前後(円形描画・意味づけの始まり):イメージと現実の結びつき
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特徴: 円が描けるようになり、描いたものに「これ、〇〇だよ」と意味づけをするようになります。空間認識の萌芽が見られます。
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サポート: 「これは何を描いたの?」と尋ね、子どもの意図を聞き出すことで、表現力とコミュニケーション能力を促します。描きたいものを描かせてあげ、その意図を尊重することが重要です。
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3歳前後(頭足人期):形と身体意識の芽生え
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4歳前後(写実的表現の始まり):観察力と細部へのこだわり
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特徴: 空間や形態への認識が深まり、知っているものを描き分けられるようになります。デフォルメされた表現も見られます。
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サポート: 「ここはどうなっているかな?」「〇〇ちゃんは、どう感じた?」など、より具体的に描写を促す声かけが有効です。多様な画材(絵の具、マーカー、パステルなど)を試させ、表現の幅を広げるサポートをしてあげましょう。
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4歳半前後以降(より詳細な表現へ):物語性と個性の深化
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特徴: 細かい部分(髪の毛、鼻など)や胴体を描き始めるようになります。服の概念なども理解し、装飾を描く子も増え、絵の中に物語が感じられるようになります。
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サポート: 子どもの描いた絵の物語に耳を傾け、共感する姿勢を示しましょう。京都大学の研究で示されるように、幼児期に独自の描画スタイルが確立されるため、個性を尊重し、自由に表現できる環境を継続することが大切です。
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家庭でできる!お絵描きを最大限に引き出すためのサポート術
お絵描きの素晴らしい効果を最大限に引き出すために、ご家庭でできるちょっとした工夫をご紹介します。保育士や幼稚園教諭も、子どもが自由に表現できる環境を整え、描く過程を大切に見守ることの重要性を強調しています。
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環境作り:いつでも自由に描けるスペースと安全な画材を リビングの一角など、子どもがいつでも気軽に絵を描けるスペースを用意してあげましょう。床にシートを敷くなどして、汚れても大丈夫な環境にすることも大切です。また、口に入れても安全な素材で作られた画材を選ぶようにしてくださいね。
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声かけの工夫:「上手だね」だけでなく、具体的に褒めよう ただ「上手だね」と褒めるだけでなく、「〇〇ちゃんが描いたお花、いろんな色があってとってもきれいだね!」「ここをこんな風に描いたんだね、面白いね!」など、具体的に褒めることで、子どもは自分の表現を認められていると感じ、さらに意欲的になります。教育現場の専門家も、結果だけでなく、描く過程や子どもの表現したい気持ちを認めることが大切だと指摘しています。
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多様な画材を試す:可能性を広げよう クレヨンや色鉛筆、絵の具、マーカーといった定番だけでなく、指絵の具、水筆、新聞紙、落ち葉や小石などの自然素材など、様々な画材や素材を試させてあげましょう。新しい素材に触れることで、子どもの表現の幅はぐんと広がります。
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完成を急がせない:子どものペースを尊重しよう 「早く描きなさい」「まだ終わらないの?」といった言葉は避け、子どものペースを尊重して自由に描かせることが大切です。完成度よりも、描くプロセスそのものを楽しむことが、子どもの成長には重要です。
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作品を飾る:努力を認め、自信を育む お子さんが描いた絵は、冷蔵庫に貼ったり、フレームに入れて飾ったりして、大切にしてあげましょう。自分の作品が飾られることで、子どもは「描いてよかった」「認められた」と感じ、自己肯定感や自信を育むことができます。
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親も一緒に楽しむ:最高の見本になろう お子さんが絵を描いているときに、親御さんも隣で一緒に絵を描いてみてください。親が楽しそうにしている姿を見ることは、子どもにとって最高の刺激になります。お互いの作品を見せ合ったり、感想を伝え合ったりするのも良いでしょう。
お絵描きと就学準備:小学校入学までに伸ばしたい力
お絵描きは、小学校入学後の学習にも直結する大切な力を育みます。
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運筆力と文字の基礎: クレヨンや鉛筆を握ることで、指先の発達が促され、文字を書くために必要な運筆力が自然と養われます。正確な線を引いたり、色をはみ出さずに塗ったりする経験は、文字や数字を丁寧に書くことにもつながります。
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集中力と持続力: 一つの絵を完成させるために、子どもは高い集中力と持続力を発揮します。これは、小学校の授業で話を聞いたり、課題に取り組んだりする際に非常に重要な力となります。
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表現力とコミュニケーション: 自分の描いた絵について説明する機会は、自分の考えを言葉で表現する練習になります。発表する力や、友達とのコミュニケーションにも役立つでしょう。
デジタルお絵描きの可能性:タブレットやアプリの活用法
現代の子どもたちにとって、タブレットやデジタルデバイスは身近な存在です。デジタルお絵描きも、その特性を理解して活用すれば、子どもの成長に良い影響を与えられます。
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メリット:
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無限の画材と色: アプリ一つで様々な筆や色を試せるため、手軽に多様な表現を楽しめます。
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やり直しが簡単: 間違えてもすぐに修正できるため、失敗を恐れずに自由に試行錯誤できます。
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場所を選ばない: 紙や画材の準備・片付けが不要で、手軽にどこでもお絵描きを楽しめます。
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集中力の持続: 動きや音のあるアプリは、子どもの興味を引きつけ、集中力を保ちやすい場合があります。
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注意点:
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視覚への影響: 長時間の使用は目の疲れや視力低下に繋がる可能性があるため、使用時間や休憩に注意しましょう。
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触覚体験の不足: 紙や絵の具の感触、匂いといった五感の刺激は、アナログのお絵描きには劣る場合があります。デジタルとアナログの両方をバランス良く取り入れるのが理想です。
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依存症のリスク: デバイス依存にならないよう、使用ルールを明確に設定し、親子で一緒に楽しむ時間を大切にしましょう。
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素材別!お絵描きのアイデアと選び方:遊び方のヒント
画材や素材を変えるだけで、お絵描きの楽しさや得られる効果は大きく広がります。年齢や子どもの興味に合わせて、多様な素材を試してみましょう。
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クレヨン・色鉛筆:手軽に楽しめる基本の画材
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絵の具(水彩・ポスターカラー):色の混ざり合いと表現の幅
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選び方: 水で溶けるタイプや、指で描けるフィンガーペイント用絵の具など、年齢や片付けの手間を考慮して選びましょう。
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アイデア: 指で直接描く「フィンガーペイント」、筆だけでなくスポンジや綿棒で描く、野菜スタンプ、シャボン玉に絵の具を混ぜて吹く「シャボン玉アート」など、様々な表現方法があります。
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マーカー・サインペン:鮮やかな発色とスムーズな書き心地
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選び方: インクが乾きやすく、裏写りしにくいもの、水性で洗い流しやすいものがおすすめです。
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アイデア: 線描きや点描画、絵を描いた後に色を塗る、透明なシートに描いて窓に貼るなど。
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粘土(紙粘土・油粘土):立体表現と指先の感触
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選び方: 乾燥すると固まる紙粘土や、繰り返し遊べる油粘土などがあります。アレルギー対応のものを選びましょう。
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アイデア: 絵を描くだけでなく、立体的に想像したものを形にする練習になります。色を混ぜたり、道具を使ったりして、質感や形を自由に表現できます。
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段ボール・廃材:想像力を刺激する創造素材
保護者の体験談:お絵描きがくれたわが子の成長
「うちの息子(5歳)は、以前は癇癪持ちで、自分の気持ちを言葉にするのが苦手でした。でも、絵を描くようになってから、絵で『怒ってるおばけ』とか『楽しい公園』とか、自分の気持ちや体験を表現するようになったんです。それから、少しずつ言葉でも伝えられるようになり、私も息子の気持ちを理解しやすくなりました。絵が息子の心を穏やかにしてくれたんだな、と感じています。」(R.Mさん、5歳児の母)
「娘(3歳)は、お絵描きに全く興味がなく、クレヨンを出してもすぐに放り投げていました。そこで、思い切って指絵の具を試してみたんです。手が汚れるのを最初は嫌がっていましたが、絵の具のひんやりした感触や、手がカラフルになるのが面白かったようで、今では毎日指絵の具をやりたがります。おかげで、以前より集中力がついた気がします。」(K.Sさん、3歳児の父)
さらなる知見:認知発達と発達支援におけるお絵描きの重要性
文部科学省や厚生労働省以外にも、国立教育政策研究所や独立行政法人国立特別支援教育総合研究所などの研究機関は、幼児期の芸術活動、特に絵画表現が子どもの発達に与える影響について多角的に研究を進めています。
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認知発達との密接な関連: 絵を描くことは、単なる手先の活動に留まらず、視覚的な情報処理能力、空間認識能力、そして問題解決能力といった認知発達と密接に関連していることが指摘されています。描く過程で「どうすればイメージ通りに描けるか?」と試行錯誤することは、論理的思考の基礎を養うことにもつながるのです。
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発達支援における絵画表現の可能性: 特に発達に特性のあるお子さんにとって、絵画表現は自己の内面を表現する有効な手段となり得ます。心の状態を理解する手がかりとなるだけでなく、描画活動を通じて手先の協応性や集中力を高めるなどの発達支援が行われることもあります。お絵描きは、すべての子どもの可能性を引き出す重要なツールなのです。
よくある質問(FAQ)
お絵描きに関して、保護者の方からよくいただく質問とその回答をまとめました。
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Q: うちの子、ぐちゃぐちゃにしか描かないけど大丈夫? A: はい、全く問題ありません。1歳前後から始まる「なぐり描き期」は、お子さんがクレヨンやペンを握り、手指を動かすことそのものに喜びを感じ、微細運動能力を養う大切な時期です。無理に形を求めず、自由に描かせてあげることが、お絵描きへの興味を育む上で最も重要です。
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Q: 何歳からお絵描きを始めさせたら良いですか? A: 特に「何歳から」という厳密な決まりはありませんが、一般的には、1歳前後から「なぐり描き」として始めることができます。この時期は、クレヨンやペンを握る行為自体や、線が描けることの面白さを感じることが大切です。安全性の高い口に入れても安心な画材を選び、自由に手を動かせる環境を整えてあげましょう。
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Q: どんな画材を揃えれば良いですか?最初に買うべきものは? A: まずは、手軽で安全な太めのクレヨンや色鉛筆、大きめの画用紙から始めるのがおすすめです。手が汚れにくい水性のフィンガーペイント用絵の具も、五感を刺激するのに非常に良いでしょう。お子さんの年齢や興味に合わせて、徐々に絵の具、マーカー、粘土など、多様な素材を取り入れていくと表現の幅が広がります。
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Q: お絵描きにあまり興味がない子はどうすればいい? A: 無理強いは逆効果になることがあります。まずは親御さんが楽しんで絵を描く姿を見せたり、一緒に画材に触れてみたりすることから始めてみましょう。クレヨンや色鉛筆だけでなく、指絵の具、水遊び感覚で使える絵の具、大きな紙にみんなで描く「共同制作」、あるいは落ち葉や小石などの自然素材を使ったお絵描きなど、多様なアプローチを試すのも有効です。描くことの楽しさを体験させてあげることが大切です。
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Q: 子どもが描いた絵を「これは何?」と聞いてもいいですか? A: はい、尋ねて大丈夫ですが、聞き方には工夫が必要です。「これは何?」と詰問するような聞き方ではなく、「この絵は、どんなお話かな?」「何を描いているのかな、先生(パパ/ママ)に教えてくれる?」のように、子どもの表現したい気持ちに寄り添い、物語を引き出すような聞き方を心がけましょう。これにより、子どもの表現意欲やコミュニケーション能力が育まれます。
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Q: お絵描き中に子どもが飽きてしまったり、集中力が続かなかったりする場合は? A: 子どもが飽きてしまうのは自然なことです。無理に続けさせず、一度休憩を挟んだり、別の遊びに切り替えたりしましょう。また、集中力を高める工夫として、短時間から始める、テーマを絞る(例:「今日は赤色だけで描いてみよう」)、絵の具の匂いや感触を楽しむなど、五感を刺激する要素を取り入れるのも有効です。描く環境を整える(散らからない、静かな場所など)ことも大切です。
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Q: 子どもの描いた絵をどう評価すればいいの?「上手・下手」で褒めてもいい? A: 「上手・下手」といった結果のみを評価する声かけは、子どもの創造性や自己肯定感を阻害する可能性があります。それよりも、「〇〇な色がたくさん使われているね!」「ここをこんな風に描いたんだね、面白いね!」「この絵には、どんな物語があるのかな?」など、子どもの表現の過程や、絵に込めた思い、工夫した点に注目して具体的に褒めてあげましょう。子どもの表現したい気持ちを認め、寄り添う姿勢が大切ですし、4歳頃から比較意識が芽生えるという専門家の指摘も踏まえると、特にこの時期は「楽しい」と思わせることが重要です。
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Q: 作品がどんどん増えて保管場所に困っています。どうすればいいですか? A: 全ての作品を保管するのは難しいですよね。いくつかおすすめの方法があります。
まとめ:今日から始める、お絵描きで豊かな子育てを
ここまで見てきたように、幼児のお絵描きは、文部科学省や厚生労働省が示すように、子どもの感性、創造性、表現力、思考力、集中力、自己肯定感、社会性といった多様な側面の発達に深く関わっています。そして、脳科学や心理学、教育現場の専門家による知見も、その重要性を強く裏付けています。
特に、以下の点が共通して強調されています。
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自己表現の手段としての重要性: 言葉では表現しにくい感情や思考を絵で表現することで、情動の安定や自己肯定感の醸成に繋がる。
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創造性・想像力の育成: 自由に発想し、イメージを形にする過程で、独創性や問題解決能力が育まれる。
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脳と指先の協応発達: 指先の微細な運動が脳を刺激し、認知能力や手先の器用さを高める。
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発達段階に応じた適切な支援: 子どもの描画の発達段階を理解し、強制や評価ではなく、肯定的な声かけと自由な表現を促す環境を提供することが不可欠。
さあ、今日からお子さんとのお絵描きタイムを、子どもの無限の可能性を引き出す最高の知育活動として、積極的に取り入れてみませんか?完璧な絵を描かせることよりも、子どもが自由に表現し、その過程を楽しむことこそが大切です。
お絵描きを通じて、お子さんの秘めた才能が開花し、心が豊かに育っていく姿に、きっと感動するはずです。
【著者紹介】 この記事は、30年以上にわたり心理学に基づいた経済行動・社会行動・恋愛行動に関するビジネスに携わり、現在はプライベートで「婚活・子育て」を中心にした情報発信を行っている筆者がお届けしています。長年の研究で培った知見を活かし、皆さんの子育てがより豊かになるヒントを提供します。