子育てラボ(研究室)!

小学生・中学生の通信教育、家庭学習、勉強習慣、受験対策を分かりやすく解説する教育メディアです。

中学生の成績が伸びない親へ|声かけが逆効果になる3つの理由と改善方法

中学生への声かけ・親子対話改善ガイド

公開日:2026/3/28 | 更新日:2026/7/27 | 子育てラボ(研究室)!

机で勉強する中学生を後ろから見守る保護者

声をかけても変わらないときは、強さではなく会話の順番を見直します。

「勉強しなさい」と言えば不機嫌になる。何も言わなければスマホを見続ける。テストの点数を聞けば会話が終わる。

この状態で必要なのは、さらに強く言うことでも、急に放っておくことでもありません。まず、親の言葉を「命令」から「状況を一緒に整理する質問」へ変えます。

結論|「認める → 聞く → 選ばせる」の順番に変える

中学生の成績が伸びない原因を、親の責任だけで説明する必要はありません。ただし、心配から出た言葉が、命令・比較・結果だけの評価になっていると、子どもには「また責められる」と届くことがあります。

最初に状態を認め、答えやすい選択肢で困りごとを聞き、最後の一歩を本人に選ばせる。この順番なら、親の正論を押し付けず、次の行動を一緒に決めやすくなります。

30秒で確認|今の悩みに近いものを選んでください

親の声かけが逆効果になる3つのNG対応

親は子どもを困らせたいのではなく、将来を心配して言葉をかけています。しかし、同じ言葉でも、親の意図と子どもの受け取り方がずれることがあります。

NG1|命令を繰り返す
親の意図
早く始めて、後で困らないようにしてほしい
子どもの受け取り方
「また管理される」「今やろうと思っていたのに」
起こりやすい反応
返事だけする、無視する、言い返す、親がいないと動かない
避けたい言葉:「なんでまだやっていないの。早くやりなさい」 言い換え:「今日は何時なら始められそう?」
NG2|兄弟・友達・過去の本人と比べる
親の意図
刺激を受けて、もう少し頑張ってほしい
子どもの受け取り方
「今の自分は認められていない」「どうせ勝てない」
起こりやすい反応
答案を隠す、点数の話を避ける、兄弟や友達への反感が強くなる
避けたい言葉:「○○さんはもっと頑張っているよ」 言い換え:「前回より、自力で解けた問題はどれ?」
NG3|結果・勉強時間だけで評価する
親の意図
努力量を増やし、次のテストで挽回してほしい
子どもの受け取り方
「何をしても点数しか見てもらえない」「長く座ればよい」
起こりやすい反応
机には向かうが進まない、答えを写す、失敗を見せなくなる
避けたい言葉:「次は最低80点。今日は2時間やりなさい」 言い換え:「次に取り直せそうな問題を1つ選ぼう」

怒る・比べる・長時間やらせるという文字と、教材が広がった学習机

命令・比較・時間だけの評価は、親の意図と子どもの受け取り方がずれやすい対応です。

大切なのは、親が一度も怒らないことではありません。言いすぎたと気づいた後に、「さっきは責める言い方になった。聞き直してもいい?」と会話をやり直せることです。

届く声かけは「認める・聞く・選ばせる」

気の利いた言葉を毎回考えるより、会話の順番を固定した方が再現しやすくなります。A-17では、次の3段階を声かけの基本形にします。

  1. 認める:評価や助言を入れず、今の状態を言葉にします。「今日は疲れていそうだね」「テストが返ってきたんだね」のような一言で十分です。
  2. 聞く:自由回答を迫らず、答えやすい2~3択で止まっている理由を聞きます。「疲れ・難しさ・何から始めるか分からない、どれに近い?」と確認します。
  3. 選ばせる:実行できる選択肢を2つほど出し、最後の決定を本人に返します。「英語を10分と、数学を1問ならどちらからにする?」と聞きます。

そのまま使える3段階テンプレ

1.認める:「今日は疲れていそうだね」

2.聞く:「始めにくいのは、疲れ・難しさ・何からやるか分からない、どれに近い?」

3.選ばせる:「英語を10分と、数学を1問ならどちらからにする?」

 

選択肢は「答えを誘導する道具」にしない

親が「疲れているだけでしょ」と結論を決めてから選択肢を出すと、質問の形をした決めつけになります。本人が「どれでもない」と答えたら、その答えも受け止めてください。

保護者の自律性を支える関わりと、宿題への動機づけ・自己効力感・取り組みとの関連を調べた研究があります。また、中学生年代を含む縦断研究では、支援的な関わりと統制的な関わりで、学業面・心理面の経過が異なる可能性が報告されています。ただし、特定の声かけだけで成績が上がると断定できるものではありません。

生活場面別|逆効果な言葉を届きやすい言い方へ変える8例

一度の会話で、原因究明から学習計画まで全部決める必要はありません。次の行動を1つだけ決めることを目標にします。

中学生へのNGな声かけと届きやすい言い換え
場面 避けたい言葉 届きやすい言い換え 言葉の目的
帰宅後にスマホを見続ける 「いつまで見ているの。すぐ勉強して」
「今は休みたい? それとも何時からなら始められそう?」
休息の必要と開始時刻を分けて考える
勉強を始めない 「何回言えば分かるの?」
「始めにくいのは、疲れた・難しい・何からやるか分からない、どれに近い?」
人格ではなく、止まっている理由を確認する
机には向かうが進まない 「集中力がなさすぎる」
「どの問題から手が止まった?」
性格評価から、具体的な問題へ戻す
「分からない」と言う 「授業を聞いていないからでしょ」
「問題文・解き方・計算のどこから分からない?」
答えやすい選択肢で困り方を分ける
間違い直しを嫌がる 「全部やり直しなさい」
「次に同じ形が出たら取れそうな1問を選ぼう」
量ではなく、次に得点できる1問へ絞る
テストの点数が下がった 「あれだけ言ったのに、なぜこの点数?」
「返ってきたんだね。自分では惜しかった問題はどれだと思う?」
責める前に、本人の見方を聞く
答案を見せない 「隠しても分かるから、今すぐ見せなさい」
「今は見せたくないんだね。落ち着いたら、直せそうな1問だけ一緒に見たい」
全部を要求せず、次の対話を残す
親がイライラしている 「もう勝手にしなさい」
「今は責める言い方になりそうだから、夕食後に5分だけ話したい」
感情のまま話さず、話す時間を決め直す

 

テーブル上のテストやノートを中学生と保護者が一緒に見る場面

責める前に、どこで止まったかを親子で整理します。

今は話さない方がよい6つのタイミング

同じ言葉でも、話すタイミングによって届き方が変わります。親子のどちらかが落ち着いていないときは、会話を先延ばしにすることも必要です。

帰宅直後学校や移動で疲れているため、まず休息が必要な場合があります。
部活直後空腹や疲労が強いと、内容より「また言われた」が先に残ります。
親が怒っているとき問いかけの形でも、声や表情が追及になりやすい状態です。
子どもが泣く・怒鳴るなど興奮しているとき答えを出させるより、まず安全と落ち着きを優先します。
テスト答案を見た直後親も子どもも感情が動きやすいため、最初は受け取った事実だけ確認します。
就寝直前長い反省会にせず、必要なら翌日に時間を決め直します。

会話を止める一言

「今はお互いに落ち着いて話せなさそうだから、夕食後に5分だけ話そう」

 

先延ばしにするときは、「あとで話そう」だけで終わらせず、夕食後・入浴後など、短い時間を決めます。ただし、子どもが話したくない状態なら、約束した時間に無理やり結論を出させる必要はありません。

子どもが「別に」「分からない」「うるさい」と答えたとき

質問へすぐ答えないことは珍しくありません。答えを引き出すまで聞き続けると、質問が新しい追及に変わります。

子:「別に」

親:「今は話したくないんだね。必要になったら一緒に考えるよ」

子:「分からない」

親:「今すぐ決めなくていいよ。疲れ・難しい・始め方が分からないの中に近いものがあれば、あとで教えて」

子:「うるさい。放っておいて」

親:「分かった。今は離れるね。困ったときは声をかけて」

親が引くことは、無関心になることではない

その場で答えを取らず、次に話せる余地を残すのが目的です。何日も完全に放置するのではなく、普段の食事や日常会話まで勉強の評価にしないようにします。

文部科学省の健康相談の手引でも、子どもの気持ちを受け止め、一緒に考え、指導が強くなりすぎないよう留意することが示されています。家庭の会話へそのまま当てはめるものではありませんが、「先に理解し、必要な支援を一緒に考える」という方向性の参考になります。

長女への「正しさの押し付け」で失敗した実体験

私自身、県内屈指の進学校へ進みながら大学を中退し、妻も家庭事情で高校を中退しています。その経験から、最初の子育てでは「親の責任として、子どもをしっかり勉強させなければ」と力みすぎました。

おっとりして親と過ごすことが好きだった長女は、勉強には関心がありませんでした。私は英語を楽しませる前に、文法を理解させようと説明と指示を増やしました。

しかし、「正しいことを分からせよう」とするほど会話は一方通行になり、長女はさらに勉強を嫌うようになりました。転機は、兄弟と比べず、命令して動かすことをやめ、本人が何を嫌がっているのかを先に聞くようにしたことです。

すぐに成績が変わったわけではありません。それでも、勉強の話をしただけで関係が悪くなる状態から、本人の考えを聞ける状態へ戻せたことが大きな変化でした。

慎重で自信を失いやすかった長男には、根性を求めるより、できた行動を具体的に認める関わりを増やしました。自分の意思が強い次女には、親の進路観を押し付けず、本人が選んだ理由を聞くことを優先しました。

3人の性格も学び方も異なったからこそ、全員に同じ言葉や方法を当てはめないことの重要性を学びました。

ここで紹介するのは我が家の経験です。同じ声かけで、すべての中学生が同じように変化することを示すものではありません。また、親の関わりだけで成績や進路が決まるという意味でもありません。

7日間の声かけリセット|学習量ではなく親の言葉だけを変える

最初の1週間は、点数や勉強時間を増やすことを目標にしません。命令・比較・結果だけの評価を減らし、話せる状態へ戻します。

1日目|命令を1回減らすいつもの「勉強しなさい」を1回だけ言わず、どの場面で言いたくなるかを観察します。
2日目|評価せず事実だけ言う「テストが返ってきたんだね」「机に向かったんだね」と、良い・悪いを付けずに伝えます。
3日目|質問を1つだけにする一度の会話で複数の質問を重ねず、返事がなければいったん終えます。
4日目|3択で理由を聞く「疲れ・難しい・何から始めるか分からない、どれに近い?」と答えやすくします。
5日目|本人に選ばせる開始時刻か教科のどちらか1つを、本人に選んでもらいます。
6日目|行動を具体的に認める点数ではなく、「始めた」「分からないと言えた」「1問戻った」を言葉にします。
7日目|聞き方を本人に聞く「勉強の話は、どんな聞き方なら答えやすい?」と親の聞き方を相談します。

7日間で急に自分から勉強することを求めません。親の言葉を「監視の合図」から「困ったときに整理できる合図」へ変えることが目的です。

テストを前に座る中学生と、向かい合って話す保護者

今すぐ答えを出させず、また話せる関係を残します。

声かけを変えても動かないときは、別の問題を確認する

声かけを変えても点数が動かない場合は、言葉の問題ではなく、理解・再現・定着・応用のどこかで止まっている可能性があります。詳しい見分け方は、成績が伸びない4つの原因の記事で確認してください。

当てはまる問題がある場合は、声かけだけで解決しようとせず、学習工程・開始の仕組み・親の負担のうち、どこを別記事で確認するか決めてください。

まとめ|今日の一言を「何時なら始められそう?」へ変える

  • 親の言葉が届かないときは、命令・比較・結果だけの評価になっていないか確認する
  • 会話は「認める → 聞く → 選ばせる」の順番にする
  • 自由回答を迫らず、疲れ・難しさ・始め方の3択から聞く
  • 親子のどちらかが興奮しているときは、話す時間を決め直す
  • 「別に」と言われたら追及せず、次に話せる余地を残す
  • 声かけ以外の問題なら、学習工程・家庭習慣・親の負担の記事へ分ける

これまでの言い方を責める必要はありません。将来を心配してきたからこそ、言葉が強くなっただけです。

今日すべてを変える必要はありません。まず1回だけ、「早くやりなさい」を「今日は何時なら始められそう?」へ変えてみてください。

よくある質問|中学生への勉強の声かけ

Q1.「勉強しなさい」と言うのを完全にやめるべきですか?
完全に黙る必要はありません。命令を繰り返す代わりに、「何時なら始められそう?」「英語と数学ならどちらから?」と、行動を具体化する質問へ変えます。返事がなければ、その場で何度も聞かないことも大切です。
Q2.テストの点が悪かったとき、最初に何と言えばよいですか?
最初は「返ってきたんだね」と事実だけを受け止めます。その後、「自分では惜しかった問題はどれだと思う?」と本人の見方を聞き、直す問題を1つだけ決めます。
Q3.「うるさい」「放っておいて」と言われたらどうしますか?
「分かった。今は離れるね。困ったときは声をかけて」と会話を止めます。すぐに答えを取ろうとせず、日常会話まで勉強の追及にしないことで、次に話せる余地を残します。
Q4.親が怒ってしまいそうなときはどうすればよいですか?
その場で解決しようとせず、「今は責める言い方になりそうだから、夕食後に5分だけ話したい」と時間を決め直します。落ち着いた後も、質問は1つ、決める行動も1つに絞ります。
著者ChieFukurouのプロフィール画像

この記事を書いた人:ChieFukurou(ちえふくろう)

3人の子育ての中で、長女へ正しさを押し付けて勉強嫌いを強めた後悔、長男の自信を認める関わりへ変えた経験、次女の進路選択を本人へ返した経験があります。現在は、親子の対話と学習の止まり方を切り分け、家庭で実行できる改善手順を発信しています。